問57の答え:4
問題58 次の記述において、文中の空欄[ア]〜[エ]に当てはまる語句等の組合せとして、正しいものはどれか。
私は四十数年間、診療に多く描画を併用してきた。ごく当たり前のことだが、絵画は言語と違って、病的か病的でないかの区別がない。これは治療の場における想像力を開放する。言語による治療と比べれば、単一の正解などないのである。 ただ、絵画は、[
ア
]。森の代わりに荒れ地は描けるが「森でないこと」自体は表現できないのである。逆に絵画は[常識的に因果関係のありそうなこと]は表現できても、「因果関係」そのものは表現できない。 しようとすればどうしても×や矢印などの記号を必要とする。 これに対して、言語は記号が主成分である。そして社会通念に支えられ非常にたくさんの申し合わせ(主として言語)とコンテクスト(主として非言語)とを必要とする。アスペルガー症候群(汎発性発達障害、高知能自閉症といわれていたもの)の児童は「横を向いてはいけない」という叱責に当惑する。「前を向けばいいのか、後ろを向けばいいのか、それとも−」とあらゆる可能性を考えてしまうかれらは「何々するな」という否定にただただ困惑する。私どもが「なぜ何遍も同じ間違いをするんだ」という上司や教師の叱責に困惑する時、その擬似体験ができるだろう。 [
イ
]からである。 そもそも言語とは、通じ合えない複数箇の存在である。言語は初めからバベルの塔以後だったのだ。もっとも、ユーラシア大陸の大部分の言語は深部構造に[
ウ ]があるという人もいる。しかし、ニューギニアではすぐ隣の部族がすでに深部構造の[ ウ
]さえない、非常に異質の言語を語しているそうである。こうなると、言語は部族限りの秘密を守る手段となっている。 言語が複雑になってゆくのも、[ エ
]を人々が必要とするからではなかろうか。 (出典 中井久夫「絵画と比べての言語の特性について」より)
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ア |
イ |
ウ |
エ |
1 |
因果関係を表現できない |
ことばによる答えなどない |
象徴性 |
隔離性 |
2 |
否定を表現できない |
ことばによる答えなどない |
共通性 |
隔離性 |
3 |
論理的ではない |
直接経験できない |
共通性 |
可能性 |
4 |
否定を表現できない |
直接経験できない |
隔離性 |
象徴性 |
5 |
論理的ではない |
ことばによる答えなどない |
象徴性 |
可能性 |
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